真冬のSOS団
※(SOS団がこたつを手に入れる話。)

冬の夕暮れ暖かくない日差しの部室。ストーブを囲んで手と膝ばかりが温かい。
長門はこの輪に進んで入ろうとはしなかったが、いかな宇宙人とはいえこれは寒かろうとみんなでひっぱり入れてきた。

「こたつ置きましょうこたつ!」
「はぁ?」
「ふぇ?」
「来年の映画の広告料前頂きよ!」
そうかハルヒ、他のつっこみを差し置きまず聞こう。
「それはまた俺が運ぶのか」
「ったりまえじゃないの!」
「あ……僕もお手伝いしますよ」
お心遣いありがたいが正直それでどうこうなる気がしない。

「あのな、今更何言ってもわからないのは百も承」
「こたつむりよ!」
「?」
感嘆語が各自違うので割愛。
「こたつに入って持ってきたらいいじゃない! 寒くないでしょ!」
……それはお前のデレ部分の気遣いなのか?
だったとしたらレアだが、けしてありがたくないぞ。

「あ! いいこと思いつきましたぁ!」
珍しく自分から会話に突撃してくる朝比奈さん。
正直ハルヒに悪いようにされないかこっちは戦々恐々だ。
「この長机に、お布団をかければいいんじゃないですか?」
「おお! ……?」
一見名案のようだが、いやそうですらないかもしれないが、
そのとんちんかん感すら可愛らしい発想は流石にやめにしたほうがいいと思います。
「それよ! それ! さっすがみくるちゃん!」
「そうですよね! お役に立てて嬉しいです!」
ちょっとお君たちい、いつもより溌剌とした朝比奈さんの姿も嫌なもんじゃないが何か、何か変に思わないのかい?

「そうと決まったら! まず商店街のお布団屋さんに電話!
 各自自宅に余ってる布団を確認! 明日始業までに部室に持ってくること!」
おお今すぐじゃないんだなぁ。ハルヒ、成長したなぁ。
だったら俺の目の前に立ちはだかってストーブの熱を遮らないでくれ、今のお前には必要ないだろうからな。

「あったかぁいー……」
俺の家の押入れに長らく押し込まれていたホットカーペットを引っ張り出してきて、さらに布団屋さんで在庫の肥やし状態だったという布団を仕入れてきた。
長机にホットカーペットと布団をかぶせるという荒業によって出来上がった「こたつむり」(命名ハルヒ。気に入ったのかよ)は早くも部室に馴染んだ。
ハルヒは布団の中にストーブを入れようと言い出したが限りなくやばそうなので阻止した。
ちなみに運搬はたまたま通りかかった親切なタクシーが手伝ってくれてかなり楽にすんだ。
ハルヒはあの救世主のような執事さん、いや運転手さんの顔を覚えていなかったらしい。
覚えていても後部座席で布団と戯れていて気づかなかったのかもしれないが。

「んじゃ、そろそろ帰りましょうか!」
本日の活動! こたつ作り! 終了!
団長! 今更ですがこれは何をする団体なのですか!
「明日からはまたびしばし働くわよ!」
何をですか! 悪事ですか!
「んー! 今日はなんか気分がいいわ! みくるちゃん、有希、帰りにパフェ食べましょう!」
「はぁいぅ」
「わかった」
男子は免除なのに少し安堵。
「じゃまた明日!」
ストーブを切ってハルヒが走り出す。なんだ案外ちゃんと覚えているものだ。

ここからキョン古