完全な快晴よりは雲のいくつも浮いていたほうが好きだと思う。
「うはあ」
「きれいに晴れてるね」
トランの英雄、僕らの風っ子とその愛娘、三人揃って野原にピクニックをしに来ている。
「ルックさま。ここらでめしにしませんかぁ?」
間延びした、声。
「セ、セラ?」
「あ、あのお腹かすいたので……え、あのすみません」
「いやちがくてね。そんな言葉どこで覚えたんだろうな、と」
「ご本で書いてあったのにマクドールさんが」
「うん」
ルックが笑顔である時は、大抵誰かが痛い目にあう。
「いつもそばにいるひとにいう言葉づかいだと教えてくださいました」
「ふうん」
「だだだって! どう説明したもんか困ってさ! むしろ今きみへの説明に困ってさ!」
「ふん、別に」
言ってからルックは軽く吹き出した。
「ばかだねきみ」
それから遅れ馳せに喧嘩の雰囲気を嗅ぎとったセラがおろおろしはじめた。
「ねールックーここらでめしにしませんかー?」
間延びした、声。
「勝手にしたら」
と言いつつもぱかぱか弁当箱を展開していく。
今度は素早くセラが手伝いに入る。
「いい天気だねえ」
「そだねえ」
「ですねえ」
ぷかぷか雲の七面鳥。
一面鳥はあるかしら。
「ルックさま、雲ってどう数えるのですか?」
いつもおとなしいセラだが、好奇心からくる質問は遠慮しない。
それ故賢くなるのだからして、誰もがそれを喜んだ。
「あ、それ僕も知りたい」
荷物持ちくんも挙手して無邪気な笑顔を見せる。
それで困ったのはルックさん。
云々云々考え込んでうんうんうんうん唸ります。
「ルックさま?」
「あーいいよセラ、ほらたーんとお食べー」
「は、はいいただきます」
「セラ、ゼリーは何がいい?桃味なんてどうかしら」
「あ、はい」
「ももーーー!」
「うわびっくりした」
「ルックさま?」
花より団子と申します。
花散らす風のよな勢いで、桃色ジュレィを守ります。
「ルックー、ゼリーはなんて数えるのー?」
「ふむーむくむーふんむ」
「んーありがと」
そう言ってから、まったく理解できていないセラの手にゼリーを押し付け、自分もゼリーを食べ始める。
「いやあうまいね」
「そだねえ」
「ですねえ」